「すみません」が生まれる構造を変える。見えない負担をなくすプロジェクト

「お忙しいところ、すみません」 リマインドを送る人事担当者は申し訳なさに胸を痛め、受け取る側もまた、催促の通知に少し気持ちが重くなる…。 誰もが余計な遠慮や気遣いにとらわれることなく、本来向き合うべき業務に集中できる環境を目指したい。そんな想いから動き出した人事の坂本さんと、実装を担ったエンジニアの浅田さんに話を伺いました。

登場人物

  • 坂本 菜緒
    AmebaLIFE事業本部 人事室。カルチャー推進室のメンバーとしても組織の活性化や文化浸透を担い、日々の細やかなオペレーション改善にも奔走。
  • 浅田 亨
    AmebaLIFE事業本部 技術人事。エンジニアとしての知見を活かし、組織課題を技術で解決する「エンジニアリングによる人事施策」を推進。

「すみません」が生まれる構造を変える。人からBotへの転換

――これまでのリマインド業務は、属人的で負担が大きかったと伺いました。

坂本:組織の活性化や新しい取り組みを積極的に推進していく文化があり、一つひとつに本気で向き合っているからこそ、表彰のための推薦を集めたり、毎月の目標入力の依頼をすることが多いんです。その結果、バックオフィスにはリマインド業務が数多く発生し、対象者が50人以上になるのもめずらしくありませんでした。

浅田:僕はリマインドを受ける側だったので、正直「一部の出していない人向け」の作業だと思っていたんです。でも、坂本さんたちが実際に裏側でリマインドしている人数を聞いて驚き「これは仕組みで解決すべき課題だ」と確信しました。

坂本:工数の大きさはもちろんですが、心理的な負担も無視できないものでした。「みなさん、お忙しいのは分かっているけれど、期日内にやってもらわなければならない」という義務感と申し訳なさの板挟みになっていて…。受け取る側も「やばい、リマインドが来てしまった」と感じてしまい、お互いに「すみません」と言い合う状態が生まれていて、小さな感情の摩擦がコミュニケーションの流れを滞らせていました。

坂本:本来目指したいのは、そうした遠慮や気遣いにとらわれることなく、自然と業務が進んでいく状態です。そこで、人が人に対して催促する仕組みを見直し“引っかかり”を仕組みで解消できないかと考えました。よりスムーズで気持ちよく働ける環境をつくるために、リマインドの主体を「人」から「Bot」へと移行するプロジェクトを立ち上げました。

上司から「これがシステム化できたら革命だね」と言われたのが響いて「リマインドレボリューション(リマレボ)」と呼びはじめました。

――浅田さんは、相談を受けてすぐに「できそうだ」というイメージが湧きましたか?

浅田:仕組み自体はシンプルですが、誤送信や連続通知は絶対に避けなければなりません。GAS(Google Apps Script)を用いて名簿と回答データを自動照合するシステムを構築し、2〜3週間ほど坂本さんと密にやり取りしながら検証を重ねました。

最初は協力的なメンバーに絞ってテスト実装をして、事故がないように慎重にリリースしました。

仕組み化で生まれた“自然と対応する”状態

――「リマインドレボリューション」を導入してみて、具体的な変化はありましたか?

浅田:以前はリマインドをしない状態だと回答率は30%程度で、それを手動で引き上げていました。今では、システムの力だけで80%を安定して超えています。それだけでなく、リマインドに対する心理的なハードルが下がり「自然と対応する」状態が生まれてきています。

坂本:Botが送るからこそ、いい意味で「申し訳なさ」が強すぎないのがいいのかもしれません。でも、完全に機械的な冷たい通知にならないよう、メッセージの文言は絵文字を入れたりと温度感を調整できるようにしています。

浅田:坂本さんがいろいろ工夫してくださっていたのですが、通知の冒頭に「未対応の場合は上長にも通知が届く」といった一文を添えている点も効果的です。対応を促す適度な緊張感を生みつつ、過度なプレッシャーや罪悪感を与えないバランスの良い設計になっていると思います。

坂本:「今すぐやっちゃおう」と思わせる文言と仕組みにこだわりました。通知内に必要情報を集約し、探す手間を排除する工夫をしました。リマインダーさえ見たら、自分のやるべきことが全てわかる状態を構築しました。

リマレボは、単なるリマインドの自動化ではなく、組織の中にある「ちょっとしたやりづらさ」や「気まずさ」を解消し、業務が自然と流れる状態をつくる取り組みでした。

すでに社員のコンディション把握ツール「GEPPO」やセキュリティ研修、AI目標の振り返りなど、汎用的に使いはじめており、今後はさらに組織の「ちょっと不便だな」という部分をどんどんレボリューションしていきたいです。

“気まずさ”をなくした先にある、自然と成果が生まれる組織へ

私たちが目指しているのは、スタッフ一人ひとりが余計な遠慮や気遣いにとらわれることなく、本来向き合うべき業務に集中できる組織です。「気まずさ」や「申し訳なさ」といった小さな感情の摩擦であっても、それが組織の流れを滞らせるのであれば、仕組みで解決していく。

リマインドレボリューションが解消したのは、単なる業務負担ではなく、そうした“見えない引っかかり”でした。その結果として生まれたスムーズな流れが、メンバーが本来の業務に集中できる環境をつくり、組織全体の空気を少しずつ前向きなものへと変えていく。そうした小さな改善の積み重ねによって、誰もが気持ちよく働き、自然と成果が生まれる組織に近づいていくと考えています。